怒りの感情を自己コントロールする
怒りの原因はどこにある?
白衣の天使と言われるナースでも、日々忙しく働いていると、ときにはイラッとすることもあるでしょう。それがナースや医師との関係でなのか、患者さんやご家族とのやりとりでのことなのか。いずれにしても、怒りを覚えるのは自分にとって気持ちのよいものではありません。しかし、それを解消するため相手に怒りをぶつけるのも、賢明とは言えないでしょう。むしろ、相手との仲をこじらせたり、場合によってはあなた自身の評価が下がってしまうこともあります。
そこで一旦、怒りの本当の原因はなんなのかということに目を向け、どのように対応すれば良いのかということを探っていきましょう。
怒りのメカニズムは一般的に、自分がこれまで大切にしてきた価値観や理想を裏切られたときに生じやすいと言われています。例えば、「10分前には行動するべき」と思っているナースにしてみれば、「5分前で良い」考えている他のナースの行動は不満でしょう。また、「回復のためしっかりご飯を食べるよう言ってるのに、あの患者さんはいつも残している」「私達も頑張っているのに、あのご家族は要求が多すぎる」など。自分にとって当然のことを他人にも期待したが、思い通りにならなくて不満を覚えるというケースや、自分の頑張りが報われないときに怒りを覚えることが多いようです。
なかには、圧倒的に相手に非があるというケースも稀にありますが、多くの場合、「~するべき」というこだわりや、「私だって…」というマイナスの感情により怒りは発生します。つまり、相手の言動そのものよりも、自分にとっての「正しい」を覆されるのが原因と言えるようです。
怒らないのでなく調節が大切
「怒りの原因が自分の思考や価値観にあることは理解できた。では、怒るのはダメなことなのか?」という疑問を抱くナースもいるでしょう。その答えは「NO」です。怒らないのを目指すのではなく、怒るべき場面では上手に怒り、怒る必要がない場面では怒らなくて済むよう調節をすることが大切だと言われます。
人の命を預かる医療現場では、決してミスが起こらないよう細心の注意が必要です。そのため、ときには後輩に対して厳しめに忠告することもあるでしょう。大切なのは、ケース・バイ・ケースで怒りを調節し、伝える際はその表現に気をつけるということです。これは、近年よく説かれている「アンガーマネジメント」に通じます。
アンガーマネジメントの方法
怒りを調節する「アンガーマネジメント」の具体的なやり方について、見ていきましょう。
まず、怒りを感じた際、怒りに反射しないことが大切です。よく言われるのが、怒りを覚えたら6秒待つという方法。心のなかで静かに6秒カウントし、「怒らなくても大丈夫」と気持ちを鎮めようとするだけで、その後の言葉選びが理性的にできます。そうして、果たして相手に怒りを伝えたほうがいいのか、伝えなくてもいいのかを考えてください。もし、伝える場合は、「~すべきです」というYouメッセージではなく、「~さんがこうやってくれると、私はとても嬉しいんですよ」という、Iメッセージで伝えましょう。相手の自尊心を損なわないよう、一対一で言うのも重要です。
伝えないけれども、怒りが収まりそうにないという場合は、その場を離れてみるのも効果的です。トイレに行ったり、他のことに目や意識を向けたりすると、案外冷静になれます。このように、怒りに振り回されないよう自分をコントロールするすことを心がけてみてください。
アンガーマネジメントは精神論ではなく、技術的なものなので、訓練をすれば誰でも習得できます。大切なのは、日常生活の中で繰り返し実践していくことです。職場でのより良い人間関係を築くため、あなた自身の人間性を高めるためにも、意識して行っていきましょう。
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